グローバル化が進み世界中の映画や音楽が身近になって、かつインターネットもある現代ですが、思った以上に僕たちは自分たちの文化圏の外のことってわからないな、と感じることがあります。どういうことかというと、センスの違いが結構あるな、ということです。
ヨーロッパ文化圏から感じたセンスの違い
ヨーロッパといったら、なんというかシックで落ち着いた、無駄のない広告とかのイメージを個人的には持ってたんですけど、概ね間違ってないな、と思いました。ヨーロッパといっても全部の国に関わったわけではなく、二カ国の会社で働いただけですが、まあ、文化圏としては同じものを共有してると思います。そのうちの一社で働いているときに感じたのが、シックを通り過ぎてなんか暗い、です。例えば新製品プロモーションのビデオとかって、こうやっぱり「ドーン」と勢いつけて発表したいところですが、この会社のときは画面がシックな上に後ろで流れているBGMが、映画のシリアスなシーンで流れるような弦楽器のものだったので、なんか盛り上がりにかける感じでした。ブロシュアとかも色使いが暗めでした(黒、紺をよく使う)。とはいえ北欧系なんかはカラフルな色使いのイメージがあるのであの辺りはまた違うのかもしれません。日本と比べると相対的に「シック、シンプル、暗い」というのが僕のヨーロッパのセンスのイメージです。
中国文化圏から感じたセンスの違い
中国文化圏のオフィスになにか制作物を共有してよ、と依頼するとすごくカラフルなものが送られてきます。原色、って感じです。ヨーロッパとは真逆の方向なイメージです。ブロシュアなんかも一応グローバル企業として英語で発行しているものは、それなりに落ち着いているんですけど、現地語で作られて現地の人々に配布したりするものはすごく、なんていうか、原色感があります。中華街!って感じです。日本とは、同じ漢字文化圏という共通するところがあるのですが、行間とか文字間からくる違和感があります。例えばちょっと今ブロシュアをデザインする余力がないので、お願いできますか?と中国圏のオフィスに依頼して、日本語のテキストを流し込んでもらったものを見ると、日本語で書いてあるのに中国のブロシュア感がすごいです。色味やレイアウト、行間、文字間から違和感を察知する人間の能力ってすごいなと思います。
あらためてローカルの存在の大切さを実感
というわけで、あらためてローカルオフィスの存在って重要だなと思ったんです。僕がなんとなく見よう見まねで英語や中国語でのデザインをやってみても、にじみ出る違和感が拭えないと思います。これを感じるかどうかは、それぞれの文化圏に属する人たちがもともと備えている感覚だと思うので、デザインを生業にしてる人以外でも気づく気がしますね。例えば明らかに日本製じゃない製品とかって、パッケージとか説明書をみるだけでピンとくるじゃないですか。日本語で作られていたとしても。これって安心感とか、ひいては信頼感にもつながっていると思うんですよね。なので、その国で商売しよう、と思ったらローカルの人間のセンスに合わせてデザインをするというのはとても重要なことだし、それを可能にするローカルのオフィスやスタッフってやっぱり必要なんだなあ、と思いました。これだけ世界が身近になっても、文化はそれぞれの地域に息づいているので、尊重しつつバランスをとってマーケティング業務もしていきたいですね。
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